骨粗しょう症
骨粗しょう症とは
骨粗しょう症とは、骨がもろくなって、骨折しやすくなる疾患のことです。原因としては、主に加齢が考えられ、なかでも閉経を迎えた女性に発症することが多く、全ての骨粗しょう症患者の中でも高年齢女性の割合が高いのも特徴です。
症状が進行するようになると、ふとしたはずみの転倒でも骨折するようになります。なかでも折れやすい箇所は、背中、腕の付け根、脚の付け根(大腿骨付近)、手首で、大腿骨を骨折すると寝たきり状態になることもあります。女性は多くの場合、更年期(45~55歳)に閉経を迎えます(個人差はあります)ので、50歳前後に一度検査を受けることをお勧めします。
このほか高年齢の女性以外で発症するケースとしては、無理なダイエット、運動不足などの不摂生な生活習慣、特定の病気(関節リウマチ、糖尿病、慢性腎臓病、動脈硬化など)や薬の副作用(ステロイド薬の長期服用など)で発症することがあります。
検査について
患者様の訴えや症状などから骨粗しょう症が疑われるようであれば、診断をつけるための検査を行いますが、当院では健診(骨粗しょう症の項目がある場合)にもよく用いられる超音波骨密度検査装置を使用します。ちなみに骨密度とは、骨の強さを判定する際の重要な尺度の1つであり、単位体積あたりの骨量(骨の中のカルシウムの量)のことを言います。
検査では、かかとの骨に超音波を当てて骨密度を測定します。X線を使用していないことから、妊娠中の方でも測定は可能です。また測定後の診断方法ですが、若い方(20~30代)の骨密度の平均値を100%とした場合、それに対して検査を受けた方の骨量が何%あるかという数値で示されます。骨密度が若い方の80%未満と診断されたら要注意、70%以下となると骨粗しょう症と診断(骨折をしたことがなく、他に骨密度を減らす疾患などがない方の場合)されます。
治療について
骨粗しょう症の診断を受けたら、骨密度の低下を抑えることと骨折を予防することが優先事項となります。そのため、骨吸収を抑制する薬や骨の形成を促進する薬など薬物療法が中心になります。また、この疾患は老化(加齢)や閉経だけでなく、食事や運動といった生活習慣も大きく影響することから「骨の生活習慣病」とも言われています。そのため当院では、生活指導や運動を含めた適切な治療法を提案しますので、薬物療法と併せて実践し、骨強度を高めるようにします。
- 薬物療法
- 骨粗しょう症の診断を受けて速やかに開始するのが薬物療法です。主に骨の破壊を抑制する薬(ビスフォスフォネート製剤やSERMなど)や骨の材料を補う薬(カルシウム製剤や活性型ビタミンD3製剤など)などが、医師の判断により処方されます。
- 食事療法
- カルシウムやたんぱく質といった骨の主成分、あるいは骨のリモデリング※に必要とされるビタミンD・Kなどの栄養素を積極的に摂取しながら、しかもバランスのとれた食生活を送ることを心がけます。
※リモデリング:骨を壊す働きをする破骨細胞が骨を吸収する一方で、骨をつくる働きをする骨芽細胞が、破骨細胞によって吸収された部分に新しい骨をつくる代謝作用。 - 運動療法
- 骨は体重の負荷をかけることで丈夫になりますが、必ずしも強度の高い運動のみが効果的というわけではありません。例えばウォーキングのような軽度の運動をするだけでも十分に有効なのです。ただ、このような運動は一時的なものではなく、長く継続することが重要です。